2006年01月02日

キングコング、人生の慰めとしての正統

ブログ放置も2ヶ月に及び、再開の目処もはっきりしませんが、冬休みと言う事でやって参りました。

キングコングのリメイク、素晴しい作品で御座いました。自信をもってオススメできる傑作です。
が、客の入りは今一つ。悲しい事であります。3時間強の時間に臆せず、今こそご覧になるべき名作です。

というわけで、口コミでの広がりを祈念して、久しぶりに大袈裟な賛辞を連ねてみようと思います。

1/23追記
やっとADSLがつながったので、追記部分で「ハリーハウゼン」と書いてしまったのを「オブライエン」に訂正、、、。恥ずかしい。実に誠実に作られた、胸の熱くなる、表現者達の物語でありました。
もちろん映像的な部分も語られるべき部分は多いでしょうが、元は芝居者の私にとって、主要登場人物の3人、そしてコングに自然に感情移入する事が出来たことは幸せでした。

導入部の、大恐慌時代で苦闘する芸人達の話。
コングにボードビルの芸でコミュニケーションを挑むヒロインの姿には涙しそうになりました。
で、またそのヒロインに、「黙ってあの朝焼け(夕焼け?)を見るがいい」と態度で示すコング。ラスト近くでNYの朝焼けの遠景をヒロインに再び示した後、王者の孤立を全うするコング。
男伊達振りに惚れました。
また唯一傍観者を意識しながら、最後には恋敵としてコングを認め、相対する脚本家。
そしてPJ本人の投影されたであろう監督役の狂気。
周囲を地獄に陥れながら、見世物としての映画制作に殉じて敗れてゆく姿。ラストの台詞には、原作をなぞったという以上の意味合いが与えられ得た様に感じられました。
その他の登場人物もそれぞれが、コングも含めてなにがしかの意地を見せ、あるいは意地に死ぬ、心意気を見せる物語であります。状況に流されても誇りを持って立ち向かう、それぞれが業と格闘する様を過不足なく描いております。
それらの足掻きは初めから悲劇へ向かう事は明白なのですが、それでも見て勇気付けられる、奮い立つものがあるのです。

一方でこのリメイクは言わば「実録キングコング」でありまして、コングは「大きなゴリラ」として描かれ、「怪獣映画」としての要素(NYでコングが暴れる部分)というのは意図的に薄められております。ギラーミンのリメイクで強調されていたエロ要素も排除されています。ドラマ部分を強調した事に対しての異論もあるでしょう。

しかしPJは劇中、監督デナムに「未知の世界を映画料金で見せる」との看板を掲げさせ、「おっぱいはどこで出てくるんだ?」と尋ねる出資者に対して、このリメイクにおけるPJのスタンスを演説させています。
そしてナオミ・ワッツはじめ参加した人々(出資者を含めて)も、同じスタンスを共有できていたと思います。

PJは「俺コング」を作るのだ!と宣言して、妥協しなかったわけであります。
この点、「宇宙戦争」リメイクで大アマのラストをつけたスピルバーグ(もっともアレは夢落ちだという、よりブラックな見方もありますが)との対比を思いますし、プライベートフィルムで大活劇を作ったルーカスとの共通点を
も考えさせられます。(単純化しすぎですが)

この映画には、まずはオブライエンを筆頭にしたオリジナル製作者に対しての深い尊敬、敬愛が捧げられています。
更に、映画全体に対して、エンターテイメントそのものに対して、表現する事に対して、コミュニケーションに対して、ひいては人生そのものに対しての深い尊敬と、映画制作者としての誠実があるのだ、と思います。
持てる力と良心を振り絞って作られた、それは人生の慰めとしての映画、その正統であると言えましょう。
この作品は、時間は掛かっても、必ず正当な評価を受ける様になる事でしょう。
posted by めたろう at 09:47| 埼玉 ☁| Comment(1) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは! 三時間、用意していた飴を食べる事も忘れて画面に見入っていました。
コングの表情や仕草が本当にリアルで人間味溢れていて、感情移入してしまいました。
ナオミ・ワッツも、エイドリアン・ブロディも、その他の役者さん達も、皆演技達者な渋い俳優さん揃いで、キャスティングが凄く良かったと思います。PJ監督のこだわり、映画への愛を強く感じました。
映画館でももう一度観たいです!
Posted by bakabros at 2006年01月11日 02:07
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