2005年04月02日

エターナルサンシャイン

以前、ネバーランドの記事にTB頂いたブログ、「試写会帰りに」
http://blog.goo.ne.jp/bakabros/e/fe4de38c0089b714dc366f99a83bbab5

上記の映画評群の中でもコメント・TBが盛り上がっている「エターナル・サンシャイン」。
ジムキャリーで、記憶をいじる映画、との事で気になっていました。
で、昨夜ようやく見に行きました。

私にとってこの映画は「怖い話」でした。ホラーというか、心理スリラーというか。

一人で見に行って、カップルに挟まれて見ましたので、本来なら恋愛に縁薄い己が境遇に涙するところですが、そうは成りませんでした。そういうレベルでは無かった。
この映画は「恋愛映画」といった枠組みを越えた、人生、人とは何か、他人と生きるとは何か、今を生きるとは何か、そうした事を真摯に考える、哲学的ともいえる作品だと思います。
(上記「試写会帰りに」へ寄せられたコメントに、アメリカで、ジムキャリー主演だからなのかこの作品がコメディーにカテゴライズされて評価が低くなったとの内容があったが、それが本当ならアノ国の映画評関係者の殆どは既に脳がヤコブ病に犯されとるよ)

「怖い話」と感じたのは、イライジャ・ウッド演ずる、ジムキャリーの「記憶と、彼女との関係性」を盗もうとする若者の存在が大きかったです。上記ブログのコメントにおいてあの役に対する評価がやや低いのは、おそらく登場シーンの多くがカットされ、隠された部分が多かったからでは無いでしょうか。
彼が、裏で、何をやらかしたのか、想像して御覧なさい。
ぞっとします。
で、彼の倫理観の無さは、あの記憶を削除する会社の4人全員に共通して設定されています。
削除される側にも同様に、倫理観が欠落しています。

私は記憶の削除、改変と言うのは、ある種の殺人であり、本作品の様に本人の意志の元に行われれば自殺だと思うのですが、この映画に登場する記憶改変に関わる連中の、ノリの軽い事!(もちろんわざとそう描かれてるわけですが。ファンタジーですからね)
記憶を弄る事の恐怖を、弄られる当事者さえ実際に自身に対して削除がなされて初めて感じ得るという、私達の記憶に対する認識の低さ、他人との関係性に対する感謝の念の低さ、といった事への風刺になってるのでは無いでしょうか。

さて、この作品でも「ビックフィッシュ」との類似を感じたわけですが、ただ今回はどちらかと言うとジムキャリーつながりで「トゥルーマンショー」との関連性を強く感じました。
上記、「人の人生を加工する物語」という点で共通するのでは無いかと。






追記するつもりで、時間が経過してしまったので、断片的ですが、、、。

・導入部で、二人の出会いのエピソードが描かれるのですが、このシーンがとても気に入りました。ドキュメンタリー風というか、「素の映像」「素の演技」に見えます。
曇り空の下、なんとも言えない物憂げな空気と風景の中で、ジム・キャリーとケイト・ウインスレットが出会うのですが、なんですか、とても気持ち良いのです。
「映画の空気」が好きになってしまうというのはなかなか無いのですが、今回はそうでした。
(10年前のトニー・ガトリフ「モンド」を思い出しました)
もっとも、導入部以降、話が本編に入るとまた違った雰囲気になるのですが。
上記導入部は最後の最後で、実はこの話のキモである事が明かされますが、製作者達にとっても正に会心の導入部だったのでは無いでしょうか。

・一応、この話は主人公ジョエルの脳内で話が終始する建前なのですが、途中からあたかも相手役クレメンタインの意識と繋がったかの様な描写が頻出します。
心理学での「集団無意識」ですとか、「二人で同じ夢を見る」現象が想起されます。
その辺の解釈は観客に委ねられるのですが。

・全くの余談ですが、この作品でのジムキャリーを見てると、知り合いの役者にして演出家、クロム舎の西山君を思い出しました。ブラジルという劇団では役者として活動しています。当面、役者としての活動が無いのですが、今後役者をやる際に見てみるのも一興かと。

クロム舎
http://kuromusya.web.infoseek.co.jp/index.html

・後、クレメンタインからも思い浮かべた人がいたりいなかったり。

この作品への批評を追いかけていったら、英語の「音」がキーになってると指摘するブログがあってビックリ&納得!全く思いつかなかった。
その辺も踏まえて2回目見てこようかしら。

06/1/4追記
恐ろしく間が空いたが、上記「試写会帰りに」で、結構内容のある書込みをしていたので転記しておく。


「2回目で気づいた事」
その@ 上の方の指摘してるパトリックの失敗って、結果として彼自身の行動がクレメンタインの記憶を刺激してしまったから、だと言う事。彼のやった事って、記憶喪失の患者に試みる「思い出すきっかけ(事物)を与える」治療そのものなんですよね。記憶そのものが戻らないにしても、感情は戻ってくる。結果彼女は、理由も無く激しい後悔に襲われたんじゃないかと思うんですよ。

そのA ジョエルが最後の最後でクレメンタインを呼び止める理由が、記憶消去の最後に出てきた、海辺の家でのシーンにあると言う事。
あれは、ジョエルの後悔なんですね。それから、二人が分かれた原因が、既に出会いの時にあった、って事を示すシーンなんですよ。きっと。
ジョエルは結局最初から最後までクレメンタインの内部に踏み込めず、逃げ出していた。
記憶を辿っていって、最後にそこに行き着いた。強烈な後悔と共に。
「次」が約束されていたわけじゃ無いけど、「もしもやり直せたら」って想いができた。

だから、ラストシーンは海の家のシーンと二人の位置が逆になっていて、ジョエルの方がクレメンタインを呼び止める形になったんだと、思います。



posted by めたろう at 10:17| 埼玉 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは! TBさせて頂きました。
めたろうさんの感想記事にはいつも感心させられます。
みんなとは切り口が違うし、真摯に映画を深く読みとられているなあと。
私は感情移入し過ぎて、映画の感想もただ恋愛観の話みたいになってしまって恥ずかしいです。
その人と関わった記憶を消すと言う事、あながちファンタジーとも言い切れない恐さがあります。

よく「自分一人で生きてきた気になるな」と言いますよね。
反抗期の子供を叱る時とか。言われている本人は、そう言われて、わかってるよ!と言い返しても、絶対に本当の意味ではわかっていないのですよね。私もそうでした。今もかな??(的はずれだったらすみません!)
ラクーナ社の四人が倫理的に頂けないと言う事ですが、私はメアリーの役からこの映画を読み解くヒントを貰ったので、贔屓目に見てしまいます。メアリーは可哀想だなと思いました。
やっている事はふしだらだけれど、またドクターを好きになってしまうという本能には抗えなかったので、助手のスタンとの関係も、クレメンタインのパトリックの様な本当の自分ではない自分がしている事だったのでは? とか思いました。

スタンは純粋にメアリーを好きでいたし。(仕事中にベッドでピョンピョンはやり過ぎだけど)
ドクターは全てを知っている訳だから、パトリックと同じく重罪ですね。ただパトリックは、こういう奴って居そうだな、と思いつつ、結局どんな事して手に入れても、結末は見えているので逆に可哀想な奴としか考えませんでした。

この四人の軽い感じとか、友人夫婦のもの凄く現実的な小さないさかい事に、とてもリアルさを感じました。
この映画が胸にグーッと突き刺さってくるのも、そういう一つ一つのディテールのリアルさから来ている気がします。

長くなって内容もよくわからなくなってしまってすみません。
また寄らせて頂きます!
Posted by bakbaros at 2005年04月06日 03:10
長文頂いたのにレス遅れてすみません、、、。

>私は感情移入し過ぎて、映画の感想もただ恋愛観の話みたいになってしまって恥ずかしいです。

オラも恋愛観の話がしたいだすよ!
オラも恋愛観の話がしたいだすよ!
オラも恋愛観の話がしたいだすよ!
(手足をバタバタさせつつ床をゴロゴロ)

スカして物事を語り「めたろうさんて、面白いね」と言われるだけなのはもうイイだすよぉぉぉ!
(部屋の隅に座り込み、フランスパンをバリバリと食いちぎりながら号泣)

ちなみに私は「自分一人で、、、」と説教された場合、「だからどうした!」と思う性質です。
だからモテないんだな、、、。


と、このようにどうでも良いレスが帰ってくるのでも宜しければ、また懲りずに遊びに来てください。
Posted by めたろう at 2005年04月07日 20:20
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もう恋はしたくない「エターナル・サンシャイン」
Excerpt: 観る前からドキドキしていた。これが映画に恋する事の出来る作品になるような予感がして。 始まる前からこんなにドキドキする事はいつだったか。ビッグ・フィッシュ以来? 観終わって、やはり、私が観たいと思って..
Weblog: 試写会帰りに。
Tracked: 2005-04-06 02:03
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