2005年04月24日

真夜中の弥次さん喜多さん

原作未見、そしてクドカン作品未見。
但し十数年前は松尾スズキ主宰で、宮藤官九郎さん、阿部サダヲさん所属の劇団「大人計画」に夢中だった。

冒頭の白黒で描かれる「ぺらっぺらな」江戸。それは一方で「リアル」のダークサイドとして、主人公二人を終盤まで追い詰める。
この導入部分を観ながら、かつて漫画「栄光なき天才たち」で読んだだけである、川島雄三「幕末太陽傳」の幻のラストを思い浮かべた。
導入部で現代の品川から江戸の品川に画面が移り物語がはじまり、ラストは時代劇のセットを抜け出し再び現在の東京を走り逃げてゆく主人公を監督は望んだが、ラストの破綻は周囲に説得され断念したと言う、、、、。

おそらく、この映画はそのラストを受け継ぐ映画になったのでは無いだろうか。

陰々滅々たる江戸のリアルに背を向けて、弥次さん喜多さんがチョッパーバイクにまたがると、画面はカラッっと日本晴れ、天然色カラーとなってミュージカルで二人を送り出すオープニングになる。(その直後に、二人はお伊勢の3km手前で突っ込みを入れられ、東海道を徒歩の旅で仕切り直しをするのだが)
この導入部で、作品のカラーや方法論が明示というか宣言され、その後のやりたい放題の道中が続いてゆくこととなる。


この作品、俺にとっては「嗚呼、あの頃の大人計画だ」と懐かしく、感無量の一本であった。
カテゴリー付けで安心する視野の狭い人には勧められぬ何でもありのバカ作品。
同時に、ダークなダークな、救い様の無い浮き世を、差別表現、残酷表現でこれでもかと見せ付ける大人計画ワールド。
それを、大規模興行の映画館でスクリーンで見る日がこようとは、、、。
大学劇研で、「大人計画がキテるキテる」と騒いで、同期、先輩から白い眼で見られた事を思い出す。同調してくれたのは後輩達ばかりだったなぁ。

それはさておき、そのような感想を覚えながら、同時に
「これ、舞台化できるよなぁぁ。大人計画の公演で数年ぶりに見たいなぁ」と思ったのも事実。
すなわち、「映画でなくてもいいじゃん」という事でもある。

「幕末太陽傳」の昔と違い、現代ではこうした枠組みをぐちゃぐちゃするやりたい放題も、さほどの意味の重さを持つわけでも無いし、客も軽々と受け入れる。
無論、クドカン監督デビューはめでたいし、映画としても今年の俺ランキング上位につけてはいるが、サプライズがあったわけでは無い。あくまでも「かつての大人計画」映画だと思えたのだ。

中盤「歌の宿」辺りまでは。

終盤、「王の宿」そして「魂の宿」はかなりブレイクしてるんでねぇのコレは!つう感じ。
二人が分かれ、そして冒頭の「江戸のリアル」がそれぞれを責め苛むダークな展開は、原作のしりあがり漫画のカラーでもあるのだろう。
弥次喜多の二人の演技も凄みを増して行くが、なんといっても七之助。素晴らしい。

そして、「魂の宿」での、途轍も無く人を食ったCG利用法!なんという予算の使い方をするのか。しかし正しく映画でしかできない表現。
ここでも大人計画メンバーが大活躍するのだが、やりたい放題もここまで徹すれば、今、クドカンが映画を撮った意義というか大儀も認められようと言うものだ。
というか、「大人計画映画」を作った意味、があったと言えよう。いや痛快。
未見だが、「阿修羅城の瞳」とはその狙いからしてレベルが違ってるはずである。

大人計画に関してはもう少し語りたいので、別記事か、この記事に後日加筆する事になるだろう。
posted by めたろう at 22:13| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
観てきました! 映画館で映画を観るのも久し振り、それが「真夜中の弥次さん喜多さん」である事に、意義を見いだそうと頑張りながら観ていました。
面白かったけれど、ちょっと疲れた。。。
聞き取れないセリフが結構あったので、ビデオで見返して観たいです。
クドカン作品は見ればみるほど面白くなるから、きっとこれも。
Posted by bakabros at 2005年05月04日 15:27
今回、俺の側の問題点は、原作読んで無い、ってとこでしょう。
シリーズ最新作「真夜中の水戸黄門」「〜のヒゲの弥次さん喜多さん」は読んで、これは重要作品を見逃していたか!と感じてはおります。

ただ、あそこまでヘヴィな世界観は読んでいて辛くなるんじゃないか、という嫌な予感がして敬遠していたところがあります。
いがらしみきおの「SINK」もそういう感じで、食わず嫌いの未読です。

ギャグ作家が笑いの逃げ場の無い、ダーク&へヴィな世界を描くと、こちらのダメージがでかくなる場合があるので。

この映画版「真夜中の弥次さん喜多さん」では、毒が笑いに昇華されている度合いが高く、ナンセンス度(クライマックスの「魂」のキャスティングとか)も強いので助かった所もあります。

笑いが無いといくらでも深みに向かい、彼岸にいったまま帰れなくなる類の作品だと思います。

TVのクドカン作品、松尾さんの最近のメジャー展開は、逆に制約多すぎて、毒が出し難いんじゃないかなぁと決め付けて、コレも食わず嫌い未見になってます。
Posted by めたろう at 2005年05月04日 20:48
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