2005年07月04日

宇宙戦争は王道パニック映画

続けて「宇宙戦争」
王道のパニック映画。宇宙人達が斃れる理由が、結局ウェルズの原作と大差無かったり、ラストがかなり大甘なのを除けば、概ね満足できる説得力である。

「戦争」を題名とするが、基本的には、ただただ人々が宇宙人の機械に虐殺されるアメリカの郊外や田舎で、トムクルーズとダコタファーニングの娘と役名忘れたが息子が地獄めぐりをするお話。特に娘のダコタ・ファーニングが、次から次へと発狂必至の光景をこれでもかと見せ付けられて悲鳴を上げ続けるのが売り、みたいにギャーギャー喚き続けるが、「ジュラシックパーク」シリーズのガキどもに対しての様な不快感は抱かない。悲鳴を上げるに足る地獄を観客も見せ付けられるからで、説得力がまるで違う。

こういうエグイ描写の積み重ねをさせると、スピルバーグは手堅いなぁと思う。ポンコロポンコロ人が死ぬあたりは、「プライベート・ライアン」のノリ。ダコタ・ファーニングが大量死を目撃するシーンもベタだが上手い。
パニック映画のキモとして、宇宙人の攻撃だけでなく、人間同士の潰しあい、殺し合い、命の綱をめぐっての争い等、人類の暗黒面をきちんと押さえている。主人公親子が生き延びながらも徐々に追い詰められ、ついには、、、という絶望的な話が延々続くので、親子向け、デートムービーとはとても言えないのだが。映画好きは満足するかな?

やはりSF者は喜ぶかも知れぬ。怪物メカのトライポッドが「デター」つう感じにイイ!
バットマンビギンズもそうだが、本来東宝特撮みたいな絵空事を物量でリアルに描かせるとハリウッドには敵わない。

導入部で、トムクルーズの、低所得層の肉体労働者で、バツ一、駄目パパと子供達の日常をある程度描いておいて、唐突に状況が始まり、一気に非日常へひきずりこまれる親子のパニックぶりを描くのだが、前兆現象からトライポッド出現までの件をじっくり描いていて、この辺は「ジョーズ」の呼吸。

街中にトライポッド出現の前兆がどんどん現れるのに、野次馬根性を止められず、逃げるどころか危険に近づいてゆくトムクルーズはじめ住民達の馬鹿ッぷりを繰り返し描き、見てるほうはこの後何が起きるか予想がつくだけにだんだんイライラしてくる。「何故早いとこ逃げないんだ」
なので、いよいよトライポッドが出現して虐殺が始まると、コミカルに見える程である。
スピルバーグの性格の悪さ全開であるが、裏には彼の、アメリカ国民への批判の意図も仄めかされている様に思う。
後半のある主要な登場人物が「世界最強の国家がたった2日でこの有様」みたいな発言や、愛国的な言動を繰り返すことからもそれは伺える。

最終盤、トムクルーズが決定的な危地から間一髪脱出する際にトライポッドを倒してみせるものの、結果としてそうなった、という描写で、殆ど人類側の抵抗は実らない、という無力感を強調してるのが、最近の馬鹿ハリウッド映画と違うところ。宇宙人側は原作同様勝手に滅ぶのだ。
反戦云々という事では無く、昔のパニック映画と言うのはこういう絶望的で受身な描写が多かったんじゃ無いかと思う。
トムクルーズだからといって、カッコいい抵抗の話などは描かれないのであって、この辺はとても誠実。

とにかくお約束満載だが無駄は無く、正に「王道」を行く物語であった。



posted by めたろう at 00:36| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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